口腔外科
口腔外科
当院には日本口腔外科学会認定「口腔外科専門医」が常駐しており、CTや血液検査、組織検査等を行うことで専門的な診断・治療を気軽に受けることが可能です。また、豊富な全身管理経験がありますので、「大きな病気があるので歯科受診が心配」という方も安心して歯科治療が受けられる体制を整えています。
口腔外科は、歯ぐきや舌などの口の中の部分や、あご、唾液腺などの口周りや顔の一部を扱う診療科目です。親知らず等の抜歯をしたい、舌がんなどの口の腫瘍が心配、通常の根の治療や歯周病の治療では治らない、あごの骨折、歯が折れた、舌がぴりぴりする、口内炎が治らない・よくできる等の一般的な歯科では扱わない、口とその周りの悩みを対象とします。
口腔外科専門医は、初期研修医終了後に6年以上大学病院等で専門研修を行い、100例以上の手術実績、全身麻酔や救命センターでの全身管理経験、論文発表等の要件をクリアした上で筆記試験と手術実地試験を経て取得します。
要件が非常に厳しいため、開業医には口腔外科専門医が常駐するところはほとんどありません。通常は口腔外科受診を必要とする場合には、まず歯科医院を受診して紹介状を作成してもらい、大学等の総合病院を予約して初めて初診を受けることになります。
全身麻酔を必要としない抜歯等の手術を行います。負担が大きくなることが予想される場合には、静脈内鎮静法を併用します。初診時に手術を行うことも可能な場合がありますので、受診前にお電話でご相談ください。手術前には十分な説明をいたします。
埋まっている、あるいは生えていても斜めになっている場合など、一般的に親知らずには歯ブラシが届きにくく、炎症が起こりやすいとされます。炎症が起こると、前の部分の歯にも悪い影響を与えます。年齢とともにあごの骨は固くなり、抜歯が大変になりますし、炎症を起こした親知らずの抜歯は術後に腫れや痛みが長く続きます。ですので、本来は若いうちに抜歯を計画することが望まれます。
通常は、局所麻酔で行い、準備から止血の確認まで30分程度かかります。抜歯後は、翌日または翌々日に消毒、約1週間後に抜糸で受診いただきます。痛みと腫れは当日の麻酔が切れたときから4日ほど続きますので、十分な痛み止めを処方します。
心臓や脳等の病気により、血がサラサラになる薬を飲んでいる方の抜歯も行います。抜歯した部位には止血剤(溶ける綿)を入れて縫合します。マウスピースを作成することで止血することもあります。場合により、内科等の主治医に病状を問い合わせることがあります。
通常は虫歯菌が歯の根に達すると、「根っこの治療」を行います。しかし、あごの骨まで菌が達すると歯からの治療では治らないことがあります。そのような場合には、歯ぐきを小さく切って骨の中を掃除する、歯根端切除術が有効な場合があります。
セラミック等の自由診療を行った歯などで、根っこの治療ができない場合にも有効です。
口の粘膜の病気には、入れ歯が合わない、咬んだ、などの機械的な刺激で起きるものから、アレルギーや鉄などの栄養素の不足で起きるものまでさまざまな種類があります。当院では、必要に応じて組織検査や血液検査等により原因を検索します。
一般的な口内炎は食べ物などがしみます。ほとんどが原因不明とされていますが、くり返し起きる場合やサイズが大きい場合には、原因がある場合もあります。1週間以上治らない場合には腫瘍の場合もありますので、すぐにご相談ください。くり返し起きる口内炎の場合には、レーザー治療が有効です。
前がん状態に属するもので、皮膚や口の中にできる肌荒れの一つです。口の中では、頬や歯ぐきの粘膜が赤くただれたり、白い線が入っていることが特徴です。食べ物がしみることもあります。金属などのアレルギーや肝臓の機能が低下が関与するとされますので、場合によって金属アレルギー検査や採血を行います。がんに変化することもあるので、定期的に口腔外科医の診察が必要です。
舌や頬、歯肉など口の中の粘膜が白く変化することを白板症と呼び、赤く変化していることを紅板症と呼びます。痛みがないことが多いです。どちらも前がん状態に属しており、定期的な口腔外科医の診察が必要です。とくに紅板症は約半数ががんになります。
ヘルペスウイルスの仲間はほとんどの方の神経に住み着いています。ですので、ヘルペスウイルスの仲間が原因で起こる口内炎は、疲れたり体調が悪いと繰り返します。しっかりと治さないと、痛みが長く残ることがあります。
大人のほとんどはすでに感染しています。大人の場合、くちびるの片側にできる口内炎や口角炎ができます。症状によって、抗ウイルス薬を内服したり、抗ウイルス薬の軟膏を塗布します。日焼けで症状が悪くなることもあります。
子どもの場合、口の中に広範囲に口内炎ができます。発熱したり、食事がとれなくなることもありますので、小児科の先生に依頼します。
帯状疱疹というと、脇腹など皮膚にできるイメージが強いと思いますが、口の中にもできることがあります。舌やあごの片側に複数の口内炎ができ、かなりの痛みを伴います。内服治療でしっかりと治さないと、神経痛が残ることがあります。食事がとれなくなることもあるので、点滴をすることもあります。
手足口病、ヘルパンギーナなど、幼稚園や学校などで夏に流行するウイルスでも口内炎ができます。疑われる場合には、小児科の先生に依頼します。
痛みがない米粒から小豆ほどの大きさのできもののほとんどは、粘液のう胞です。唇の粘膜にも唾液をつくる臓器(唾液腺)があります。その出口を咬んでしまうことで唾液が溜まって風船のようになることでできます。歯の生え始めの赤ちゃんから大人までだれにでもできます。
小さければ、液体窒素によって痛みなく治療することが可能ですが、大きい場合や繰り返している場合には摘出手術を行います。手術は5~10分程度で、2日くらい痛みと腫れが続きます。
口が渇いてしまって悩んでいる方は少なくありません。唾液は年齢を重ねるとともに少なくなりますが、食べにくいなどの自覚症状がある場合には治療を行う必要があります。中には、膠原病や薬の副作用等が原因のこともありますので、がまんせずにご相談ください。
当院の口腔外科医は日本でも有数の救急受入れを行っている医学部付属病院で、数多くの骨折等の外傷の手術や治療を経験しています。場合によりCT撮影を行い、局所麻酔で対応可能な外傷の診断や治療を行います。頭をぶつけているなど、場合によっては大学病院に紹介することもあります。
折れたり抜けた歯は、汚れを落としたりせず、そのまま牛乳につけて当院にお持ちください。戻すことが可能な場合は、ワイヤーやセメントなどによって固定します。固定期間は月単位となります。
顔の縫合は傷あとが残らないように、繊細に行う必要があります。当院では細い針と糸で細かい縫合を行います。
打撲で腫れていてもかみ合わせに異常が出ることがありますが、骨折が原因のこともあります。けがをして間もないときにはCTなどの画像に映りにくいこともありますので、後日に再度撮影をすることがあります。
口を動かそうとする時、耳の前あたりや、あごの筋肉が痛む。または大きく口を開けられない・開けるのが怖い。口の開け閉めの際に音がして気になるなどの症状があれば、顎関節症の可能性があります。週単位で急激に症状が悪くなる場合には、歯や唾液腺の感染症や、腫瘍が原因の場合もありますので、決してがまんせずにご相談ください。
当院では、痛み止め、漢方、電気マッサージ器を組み合わせて顎関節症の治療を行います。歯ぎしりがみられる場合には、マウスピースを作製することもあります。ストレスが原因で食いしばったり、頬杖をついていることが原因の場合には、生活改善の提案をすることもあります。あごの関節はCTでは評価できないので、大学病院等にMRIの撮影を依頼することがあります。
あごが外れて閉じることができなくなることがあります。当院では整復して固定します。しっかり固定しないと、繰り返します。
虫歯や歯周病が進行してあごの骨にばい菌が広がった場合や、だ液を作る臓器である唾液腺に感染がある場合に、あごが痛い、熱っぽい、口があかないという症状がみられます。時間単位で症状が悪くなることが特徴です。ひどいときには、喉が腫れて息がしづらくなったり、全身にばい菌が広がることもあります。急激に症状が悪くなる場合には、すみやかにご相談ください。
あごの骨にも腫瘍ができることがあります。悪性の場合、かみ合わせがずれる、口があかない、だるい等の症状が週単位で悪くなります。異変を感じたら、すぐにご相談ください。
骨粗しょう症の薬の中には骨の代謝を止めてしまうものがあり、虫歯や歯周病で傷んだ歯があると、周囲のあごの骨が腐ってしまうことがあります。整形外科や内科等で骨粗しょう症と言われたら、薬を始める前に口の中のチェックを受けましょう。当院の医師は、実際に骨が腐ってしまった方への手術なども多く経験しています。他院で「骨粗しょう症の薬を飲んでいるから対応できない」と言われた場合でも、可能な処置はいたしますので、ご相談ください。